2008.8.6 4029 塩次伸二 (ex. ウェストロード・ブルースバンド) Blues Trio with 酒井ちふみ
☆ 夏巡業 中国〜九州の旅 ☆(最終地久留米編!)
@久留米 永福寺


Start 19:00  End 21:25

鼓膜が破れそうな轟音。
タバコの煙で曇った店内。
床が汚くて座れず立ちっ放しの客席。
それでも酔いつぶれて寝転んだりしてる客。
ステージを照らす妖しげな五色のライト。
ROCKを知った頃からライブハウスとはそういうものだったし、そのいかがわしさこそがROCKの魅力だと信じていた。
しかし、我々は歳を取った。
数時間座れないなら、タバコの煙がツライから、音圧で気分が悪くなりそうで…そんな理由で見たかったミュージシャンのライブも躊躇するようになった。

この日の塩次伸二@久留米のステージは、我々が頭に描いていたライブハウスでのライブとは真逆に位置するものだった。
館内禁煙でクリーンな室内。
酒類は一切ナシのソフトドリンクのみ。
お客は綺麗に磨き上げられた床に直に座り、あるいはゆっくるパイプ椅子に腰掛けてステージを眺める。
スポットライトの色は暖かな白熱色のみで、ミュージシャン一人一人の表情がはっきり見える。
スピーカーからは出る音は各楽器の音一つ一つがはっきり聞き分けられるし、ボーカルの歌詞も良く分かる。
そしてステージはお寺の附属幼稚園内の施設だ。
この空間に約2時間。
そこにはいかがわしさも妖しさもなかったけれど、確実にROCKとBLUESが息づいていた。
BLUESのビートが、リズムが、リフが、観客一人一人の頭の中にアメリカ南部の風景を次々に描いてくれた。
大牟田出身の日本最高のBLUESギタリスト・塩次伸二率いるバンドが、我々に肩肘張らずにROCKを楽しむやり方を教えてくれたステージだった。

日本のBLUES界を支え続けて来た塩次伸二さんは、2008年10月19日に心不全のため急逝されました。
この記事を偉大なBLUES MANに捧げます。

<敬称略、写真&文責:hakata-rock.net編集部>
<取材協力:Mr.Ishii、永福寺幼稚園、 当日のお客さん&Than-Q>