2010.4.17 SHEENA & THE ROKKETS
"YUME-MILL live in NOGATA" @ユメニティのおがた


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出演
Bee Dance Company 竜之介バンド SHEENA & THE ROKKETS
《ナビゲーター》TOGGY
まずは結論から言おう。
夢のような良かライブを直方で見た。

結成から30年を超えたシナロケが直方に登場するのはなんとこの日が初めてらしい。
(筑豊でのシナロケLIVEも、この地区出身の筆者が知る限り1983年の近大工学部学園祭でのROKKETS以来だ)
そんなROCK過疎地(楽器屋もライブハウスも満足にないのが現状だ)の筑豊・直方は、ギタリスト渡辺信之の出身地である。
正に凱旋LIVEという言葉が相応しい。
さらに、4月17日はシーナの日。
何か素敵な事が起きそうな予感がプンプンと匂うではないか。
しかし、ここはROCK過疎地。
集客は?客のノリは?演奏場所の音響や照明は?…と、筆者自身も筑豊出身だけに、いつものROCKイベントとは違う不安が勝手に先行する。
しかし。しかしだ。
蓋を開けて見ればそれらの不安はすべて杞憂だった。
会場は綺麗で広く音響も抜群、写真を見れば分かるように照明も美しい。
800席近い客席は満席で、恐らくROCKとは日頃無縁であろうダンスを見に来たお客達も多かっただろうに客席は大盛り上がり。
これは出演者の熱演も当然だが、運営側の努力の成果だろう。
複数のバンドが出演するROCKイベントでは、お目当てのバンド以外は見なかったりあからさまに興味なさそうにしていたり、という光景をしょっちゅう目にするが、この日はダンスにも、竜之介バンドの10歳の子供…というより間違いなく大人以上の超絶演奏にも、トリのシナロケの演奏にも、惜しみない拍手と声援を送っていた。
ROCKの演奏を見に来たファンはステージ狭しと動き回る踊りに魅了され(ジョン・リー・フッカーのビートでソロのダンスが踊れるとは!)、ダンスを見に来た出演者の家族は普段目にしないであろうプロのバンド演奏の迫力に魂を射貫かれたに違いない。この幸福な相互作用で会場は終始大きな盛り上がりに包まれた。

SHEENA & THE ROKKETSのボーカル・SHENAの喉にポリープがあった事が著書『YOU MAY DREAM』で赤裸々に語られていてファンを心配させたが、術後の経過が良好な事は目を見張る昨年からの声量の復調で確信出来た。
この日のLIVEでもシーナの歌声は自由にホール内の空間を飛び回り、従来のファンだけではなくこの日初めて見た人達の気持ちも鷲掴みにしていた。
(だって観客が皆あれだけずっと笑顔でバリバリのROCKサウンドに魅了されてたから間違いないのだ)
名曲の『プロポーズ』や『スイート・インスピレーション』だって最新作の『形見のネックレス』だって、新旧お構いなしにぶっ飛ばしてくれる心地良さは旧来のファンは余計たまらない。
座席についてゆっくり見れるはずのホールでのLIVEだが、最後はやっぱり総立ちになって前に押しかけてしまうこのバンドの魅力は、何十年経とうとそのカリスマ性が衰える事のない鮎川誠のシビレるギターにその魔力がある事は無論だが、SHEENAのステージ・アクションとボーカルがあってこそ華咲いて完成する、という事をつくづく実感したLIVEでもあった。
(もちろんオリジナル・メンバーである川嶋と浅田のリズム隊がしっかりと屋台骨を支えてくれているから、というのも大きな理由の一つだ)

渡辺信之は終始笑顔だった。基本、いつも笑顔を絶やさないギタリストだが、この日は特にニコニコ顔(写真でも確認してほしい)
そしていつもより更にハジけていた。ハジけ度150%だ。凱旋公演だからと言って特にnaviコーナーがあった訳でもないし、サイドギターの渡辺にギターソロを弾く機会が設けられた訳でもない。いつもの全力投球のシナロケのLIVEだったが、そのいつもの演奏の中で渡辺はよりハジけ、笑い、ギターをかき鳴らし、コーラスを胸張って唄っていた。
その姿がファンとしても同郷人としても、とても嬉しかった。写真撮りながら一緒に唄った。Bee Ddance Companyの女の子達が不思議そうにこちらを見ていたが、いいじゃないか!良か演奏はカメラマンだって口ずさみたいし身体を揺らしたくなるんだよ。君達のように華麗に踊れなくても、俺の気持ちはとっても愉快に踊ってるんだ。
こんな気持ちにしてくれたシナロケ始め出演者の皆さん、そして運営したスタッフの人達に感謝したい。
そしてまた来年もこの直方の地で見たい、と思うのは我が儘だろうか?
北九州の夏の野外フェスとして定着したT-Jamのように、直方の春のイベントとして定着したら、もうROCK過疎地なんて言わないし、誰にも言わせない。
遠賀川沿いの筑豊もやっぱ良か町ばい、と再認識した素敵な一日だった。


<敬称略、写真&文責:hakata-rock.net編集部>