※注1: | 混乱しやすいので映画中のバンドはロッカーズ、元々陣内監督がやってたのはTH eROCKERSと文中表記してます |
※注2: | 文中は基本的に敬省略。知り合いの人やファンの人はご了承ください |
![]() | 谷さんの葬儀時に深町氏が陣内監督宅に泊まり、そこで「いつか谷と俺の話を映画にする」と言われたらしい。 |
![]() |
最初に映画化実現に向けて動き出したとの報が深町氏に入ったのが2年ほど前。その時のタニ役のキャスティングは何と窪塚洋介!本人はかなりやる気だったようだが、人気も出てきてスケジュールが合わず。その話は没に。タニがいなけりゃ当然この話も没に。 窪塚でもオモシロイ映画になったかも知れないが、それでは世間はあくまで窪塚主演の映画としか見ないだろう。TH eROCKERSの谷さんがモデルで…なんて二の次だ。タニ役の玉木宏はあまりにもハマリ役だったので、この一旦没の経由は結果としてラッキーだったと思う。 |
![]() | 再度映画化に向けて動き出したのが一年半ほど前。タイミング良く深町氏が地元ローカルTV局のKBC側(注:古くは1984年の里帰りロックから最近では1998年の伝説ライブまで、結構イカす企画をやってくれるTV局だ)にどうせならKBC開局50周年映画としてどうかと持ちかけ、地元が舞台ならいいでしょうとうまい具合に話が進んだらしい。 |
![]() | 深町氏は福岡のコーディネーターで参加したとの事。「コーディネーターって何よ?」と思ったが、映画のロケ地の選定などをしたらしい。映画を見終わった後でピシャリ!のコーディネート振りを実感。 |
![]() | 萬田美子がめんたいロック当時を知らないのは当然としても、武内アナも山本華世女史もTH eROCKERSの現役時代を知らないと言う。エッ、知ってる俺ってそんなに歳なの?武内アナはともかく、山本華世って俺とほぼ同い年じゃなかったっけ? |
![]() |
陣内は初監督とは思えないほど、話の組立や見せ方が上手い。役者で苦労して蓄えてきたノウハウを爆裂させたんだろうなぁ。 タニの話をいいものにしちゃる!という気合が観てる側にも伝わってくるし、その気合は決して空回りせず、時には軽妙に時にはスピーディに観ている者を飽きさせない。映画のノリ自体が往年のTH eROCKERSそのもの、かっての陣内そのもので小気味良い。つまり見た目や歳は変わっても陣内のコアな部分は何にも変わってない訳ね。あまねく現役を名乗る中年ロッカー達にこの姿を見せてやりたいね。つーか、曲がりなりにもバンドを続けてる俺も少しは陣内を見習え(苦笑) |
![]() |
原作はもちろん陣内監督著の『アメージング・グレース』ということになるのだろうが、あの本からより軽快感を増した仕上がりになっている。 本の中の色んなエピソードもあちこちにうまく散りばめてある。めんたいロックを題材にしたちらし寿司のような映画(何じゃそりゃ) |
![]() | 大杉連の弾き語りワロタ。 |
![]() |
上にも書いたがタニ役はホントにカッコ良い。寡黙一辺倒だけでなく若者らしい茶目っ気も上手く演じている。 TH eROCKERSを博多で観ていた当時の俺は、音よりも視覚中心に観てた上っ面野郎だったので、このバンドの中心は陣内ともう一人のギターの鶴川だろうと思っていた。いつもサングラスをかけてうつむき加減で寡黙にギターを引っ掻く谷はあまり目立たなかった。 (余談だが、ステージから降りても陣内と鶴川はしょっちゅう女の子を何人も引き連れて親不孝や天神を闊歩する姿を度々目にした) でも、実際の谷は、そして陣内の中の谷はこの映画のタニのようであったんだろう。監督自身であるジンを必要以上にエェカッコしいとして描かず、タニに後押しされて前に進んでいくボーカルとタニの対比も良い。 見た目もだが、タニはギターの弾き方が抜群に格好良い。谷のシャープでスピード感ある弾き方と初期ルースターズの大江の掻きむしるようなカッティングの仕方をミックスしたギタースタイルはカッコ良いギタリストのお手本のようだ。半年前までギター素人だったとはとても思えない。 |
![]() | もう一人の主役であるジン役の中村俊介は、これまた軽妙かつスピーディなステージをこなすボーカリストとして見応えアリ。ステージアクションも当時の陣内そのもの。そうとう演技指導で本人から鍛えられたんだろうなぁ。 |
![]() |
ジンと言えば、その父親役で出演している元サンハウスの浦田賢一。演技か素か分からない位の自然な頑固オヤジっぷりが素晴らしい。 この映画は全体的にミスキャストが見当たらないが、特にこのジンの親父役はハマリ過ぎ。ジミヘンの格好も妙にハマってて可笑しかったが(笑) |
![]() | サンハウスナンバーがこの映画で流れるとは思わなかった。画面にはホンマモンの元サンハウスのドラマーの姿が…(笑) |
![]() | ドラマー役の岡田義徳は絶対元々タイコをやってるだろう…と思ってたら、やはりバンドをやってるらしい。 |
![]() |
ライバルバンドのボーカルがもろにモダンドールズ(笑) やってる曲もモダンの「ソーダポップ」だし。バンド名はリップオフだし(笑) 実際のモダンはホーンセクションこそなかったが、あの艶やかさ、妖しさ、華やかさはモダンの雰囲気の一面そのものだった。 …と思ってたら、後半のライブシーンはT.M Revolutionに見えたが(笑) 演じてるのが元ガオシルバーとはとても思えん。さすがプロの俳優(当たり前だ) 選曲も「バレンティノ…」や「浮気なジャングル・ビート」ではなく「ソーダポップ」を持ってくる所もグー。 |
![]() |
映画を観る前にサントラを聴いてたがイマイチ、ピンと来ない曲も多かった。 でもこれが映画のシーンにはちゃんと合ってる。さすがサウンドトラック。 |
![]() | 同じく、サントラに入ってるバンドも何じゃこりゃ?と思うのもいくつかあったが、ちゃんとライブシーンで映えるバンドを選んであったように思う。 |
![]() |
ここでちょっとへぇ〜な話。 劇中に挿入される「Rock'n'Roll record」でバックコーラスの女性は ・ ・ ・ 毛染め剤のパパイヤ鈴木が出ていたTVCM「パパを染めちゃえ〜」と唄っていた人と同じである。 <補足> 真心ブラザースの「拝啓、ジョン・レノン」のコーラスも同じである。 …って、知ってる人は知ってる、日本一パワフルな女性ボーカル、元ソウルフラワーユニオンのうつみようこさんなんだけどね。 |
![]() |
ロッカーズ自体のサウンドに関しては、な〜んの問題もなし!ROCK'N'ROLL GYPSIESが担当してるんだから当たり前! 陣内監督もサウンド面に関して全面的に安心して任せられたんだろうな。 この映画の撮影時期にROCK'N'ROLL GYPSIESが本格的に活動していてサウンドトラックを担当した事は、ホントに幸運なことだったと思う。だって俺達ファンは元THE ROOSTERSの演奏でTH eROCKERSのサウンドが聴けるんだぜ! 上に書いてるタニ役交代もKBCの50周年記念映画になったこともそうだが、この映画は色んなラッキーが重なってるような気がする。 |
![]() | THE ROOSTERSとTH eROCKERSのサウンドがあんなに違和感なくメドレーになるとは…流石ジプシーズ! |
![]() | TH eROCKERSナンバーの選曲については、1時間45分という枠の中ではあれがベストかな。でも個人的には「Hey!DJ」と「プアボーイ」も欲しかった。 |
![]() | 「涙のモーターウェイ」を必要以上にジメッとせずにサラッと使ってある。物足りなくも感じるが、映画全体のバランスを考えた場合、あの曲に重きを置きすぎて暗〜い映画になっちまうより正解だったと思う。 |
![]() | 中村俊介のボーカルは十分及第点だと思う。ヘンにモノマネしてる訳でもないのにロッカーズの音に合ってる。 |
![]() | 個人的に終盤の演奏シーンで「嗚呼女の子達がキャーキャー熱狂してステージでメンバーが飛び跳ねてあの頃のTH eROCKERSのライブの雰囲気そのままや〜」と思ってホロッときそうになったのをここで告白しておく。 |
![]() |
ロッカーズのライブシーンは別にTH eROCKERSの完全コピーではないが、あのエッセンスをありったけ詰め込んだものになっている。 モノマネではないので観ていてバンドとして無理や違和感がない。 |
![]() |
ライブハウスの名前が"あの"ライブハウスだよ!!看板のネオンサインも店の雰囲気もそのままこの映画の中にパッケージした陣内はエライ! 実際のあの場所はもっと小さくて汚かったかもしれない。でもそこに籠もるバンド&客の熱気とキラキラした空間の雰囲気はまさにそのままだった。 |
![]() |
共演者がホントに豪華。白竜に伊佐山ひろ子、はなわ。ジンのじーちゃんは『ショムニ』の満帆商事の社長だし。 おまけにチョイ役で麻生祐未、小泉今日子、中井貴一、八嶋智人(『トリビアの泉』の司会の人ね)、モト冬樹(ちゃんとギター弾いてくれるぜ)、王様(王様の役デス(笑))、佐藤浩市に鈴木京香…それぞれみょ〜にハマってて可笑しい。 |
![]() | 俺的にはラーメンをすするJUKE松本店長と八百屋のスマイリー原島氏がウケた(笑) |
![]() |
こういうゲストや協力者の名前が延々と流れるエンドロールが楽しかった。 その中にTHE PRIVESの文字が。えっ、どこで絡んでた!?俺は気付かなかった。誰か教えて! |
![]() |
博多の名所があちこちに登場。しかも押しつけがましくなく、これ見よがしでもなくサラッと。 先日の日記で「福岡は観光で連れて行く所があまりない」と書いたが、ゴメンやっぱいい街だよここは。 |
![]() |
ここまでベタ誉めだが完璧なエンターティメント映画という訳ではない。 ギャグとか多少泥臭い面もあり。何となくだが『爆裂都市』の石井総互監督の影響が感じられるような部分もほんのちょっとだけ。 でもそんな細かいこと吹き飛ばすパワーがこの映画にはある。 |
![]() |
カメラのカット割りとか画面転換はとてもスマートで初監督作品とは思えない。この辺りは『爆裂都市』ほど泥臭くない(笑) (無論、泥臭さや雑然さも含めて『爆裂都市』の魅力の一部であり、この辺りの持ち味を否定している気はない。あくまで比較論。) |
![]() | 細か〜いトコロでみょ〜に芸が細かい作り込みをしている。例えばライブハウスのシーンで、ジンはじめ女の子を見るロッカーズのメンバーの瞳の中の反射がハートマークになっている、とか(笑) |
![]() | 全編博多弁バリバリだが演じる役者のセリフにまったく違和感なし。方言指導も徹底しとるごとあるね(笑) |