鮎川誠&SHEENA(SHEENA & THE ROKKETS) インタビュー
2005.9.17@ジェリコ
(セッションLIVE前の楽屋にて)


ブルースヴィル渋谷から生まれた『200CD ROCK'N'ROLL』
hakata-rock.net編集部 中倉(以下、「中倉」)
お疲れさまでした!何から聞きましょうか?…まず、本の事から聞いていいですか。
鮎川誠(以下、「鮎川」)
『200CD ROCK'N'ROLL』…YeahYeahYeah
中倉 これ、今度出版されて大変反響を呼んでると思いますが、出版に至る経由っていうか、元々何で出そうかねっていう話になったんですか?
鮎川 それがね、BluesVille Shibuya(ブルースヴィル渋谷)ちいうDJ番組をね、2000年に頼まれたんよ。 渋谷FMちいう所で、ちょうど『ROCK THE ROCK』を出したばっかりの時に。
最初はね、よくあるキャンペーンの一環で、色んな…俺とSHEENAでDJ、しばらく話題のためにとかさ、そんな感じやったと思うんよ。 ところがディレクターがめんたいロックの超クレージー・ガイでさ。
中倉 そうですか(笑) お幾つくらいの方ですか?
鮎川 K君って言う…小戸公園も見とるし、いろんな博多出身&めんたいロック大好きで、ルースターズやらみんな好きな人で、喜んでくれたわけ。自由にやらしてくれるっちいうか、俺等がやる事が好きなんよ。
それで、企画を出した時に、本根誠君っち言うDJが全部プランを立てて…本根君はAVEXのスカパラとかのプロデューサーしよる人で、それからDJもしよるけど。
本根君の師匠ちいうのがね、山名昇ちいうのがおって。もう山名は、スカからレゲエからブルースからパンクからロック、何でも。
俺が初めて彼の存在をスゴイと思ったのは、1980年よ。
もう'80年からインタビュー色々しよったけど、SHEENAが82年に『BEAUTIFUL』ちいうソロアルバムをね、作った時にね…
中倉 8曲入りの…
鮎川 うん、その製作のインタビューしとう時、Clarence Garlowの『BON TEMPS ROULER』
中倉 ♪ボントールーレー♪ですね。
鮎川 そう、♪ボントールーレー♪ちいうのは、こうちゃん(編集部注:松本康)と俺で作った。
元々あれはニューオリンズのね、フランスのGoodtimes Rollちいうのが、フランス語で「BON TEMPS ROULER」ち言うん。
それで
「それは、Clarence Garlowちいうブルースマンが50年代にやっとったんよね」
ち言うたら、(山名氏が)知っとるち言うんよ。
俺はもうROKKETS、その頃3年くらい経っとったけど、みんな評論家て来るけど知ったかぶりばっかりでさ、おべっか使いばっかりでさ。そんな時に何でアンタ若いのにClarence Garlowやら知っとうと…で一目置いたわけよ(笑)
そしたら
『雨のエトランゼ』とかさLeroy Carrのブルースを下地にして作っとんよ」
ち言うたら
「『How About Me?』っていう曲でしょう」
とか。えーもう見抜かれとるねちいう感じでね(笑)
その頃からずっと気に入ってて、山名ちいうのは、日本で飛び抜けたレコードコレクター・クレイジーで、山名が本根の師匠なわけ。
それで山名君も一緒に入る、本根と僕とSHEENAで入るって放送に。
そのBluesVille Shibuyaは久留米では放送されよんよ。久留米と本家の渋谷近辺。あるいはコミュニティーFMやん。
中倉 渋谷でしか聴けんと思ってました。
鮎川 それと天神FMでもOK。
一時は札幌もネットワークしとったけど、それはちょっと今なくなって、で、今年で足かけ5年目に入る。
116回目かな今、確か。
それでね、もう一回目から面白くて、夢中になってさ。そんで山名と集まって、本根と集まって、何かけようかちいうのが、僕等のライブもやったり…レコードが好きで、レコードからリスパイヤされて、もうずっとやって来とるの。もう勉強会みたいな感じやったり。
自分はちょっとアナログ版の魅力にもう一回魅せられてさ。
コンピュータやらいろいろMP3が良いとか、もうレコードはかからんけ、CDに買い直すとか、一通り廻ったら、FREDDIE KINGやら聞きよったら、今度CDが音飛びし出したわけ。
「えーっ?」
ちなって、CDちゃ意外と信用できんねちなって。
中倉 CDも脆いですもんね、飛び始めたら。
鮎川 ペンペンペンペンち飛び出して、そんな時にアナログでJohn Lee Hooker聴いた時に、ガビーン!ち音がもう…あ、やっぱ俺達これを聞きよったんだ〜ち。
ちょっと克明に話し過ぎたよね?BluesVille Shibuya(笑)
中倉 聞いてたら、本当に何時間でも聞いてたい話です。
鮎川 アナログ盤が…俺、サンハウスの頃から、みんなから、柴山さんやら奈良さんやら篠山さん…もうコレクターに囲まれてね。
もう沢山聴いてきとるのが蘇ってさ、うん。
その頃、俺達ちゃみんながそうやないけどさ、そんなに買いきらんやったんよ。バーゲンを狙うたり(笑)
中倉 お金がですね(笑)
鮎川 うん、そんなに簡単に買えるもんやないし。
元々ブルースが入ってきた頃って、手に入らん物を夢みる時間が長かったんよ。
中倉 へぇ、そうなんですか?
鮎川 今みたいに、何が良いですか?John Lee Hookerで100種類出てますよ…とかじゃなくて、たった一枚、今度John Lee Hooker出るぜとかいうような、待ちかまえとるような聴き方しとるから、年季が違うんよ。有難みが違う。その気持ちがみんなある。
本根とや山名と俺、SHEENAが集まるけ、もう楽しくて。
で、ウチのレコードやら、今度あれかけよう、FREDDIE KINGのあれかけよう、OTIS RUSHかける?…とか。
山名も良いの持って来るんよ。勉強になるんよ。わー、こんなんがあるんって。
で、そういう勉強会兼ねて、最高の、自分達がまず、エンターテイメント。これ聴きよる人おるやろか、今時こんなんおらんやろうねぇち。それやし、もう無いたい。ホント世界にひとつしかない愛に満ちあふれたブルース番組。
それで俺はインターネット使いよるけん、RokketWEBに自分達の−シナロケのセットリストも毎回載せようち心に決めたように、ブルースヴィルで決めた曲ちいうのは一曲残らず素晴らしいアーティストの名前を、一行書くだけでも讃える事になるし、みんなに一人でも気に入った人、興味持った人に伝えるし、見て欲しいと思って、ONAIRのSet List付けだしたところから、この『200CD ROCK'N'ROLL』の話が始まるわけよ。
色んな所からオファーやら時々来るわけ、なんか面白そうだからち。
俺等も"ブルースヴィル白書"ちゅうような感じでずっと統計とってみたら、ローリング・ストーンズが一番多い。ほんで次にボブ・ディランJohn Lee HookerMuddy Waters
SHEENA & THE ROKKETSは必ず3曲かかるコーナーを作ってくれとるけん(笑)、俺達は全曲かけるぞち思たんよ。アルバムとかも、ベスト盤だけに入っとうのも。すると200曲くらい。一曲残らずかけたい、ちいうて重複せんように、選びよったん。それプラス10何曲になるわけね。みんなで選んだ。
それがバシッと、もう1000曲を越えてしもうて、その頃からたい。なんかこれを形にしたいねっちいうのがこっちにもあったけど、そんな時にドッキングしてくれた出版社が、それを千何百アーティストもスペースがあれやけん…
で、僕はいつも"Punk""Rock""Blues"いつも言いよったんよ。もうパンクもロックもブルースも、もう根は一緒ち言うかさ、俺達が夢中になっとうのは、それやから。
そのキーワードも面白いし、そういうテーマでっちいう話がダダダーっちまとまってね、それで、僕と山名、本根も執筆して。
中倉 なるほど、そういう経由ですね。
鮎川 それでね、俺、ロック好きなヤツはね、よけいなお世話ちいう気持ちがないといかんと思うんよ、基本的に。そんなに人に聞くなんちいうのは、もうロック好きなヤツの風上にもおけん。
中倉 最初から「何が良いですか?」って訊くとかいうんじゃなくて、まず何か自分で調べて、悩んでみいやいって事ですね。
鮎川 やけども、ちょっとおせっかいかもしれんけど、みんながなんか選んどっとよりは、俺達が選んどうとは、もう現場にも入っとるアーティストが、尊敬するアーティストの正真正銘の筋道通ったような選び方しとるき、ちっとはなんか参考にならんやろうか、ちいう気持ちもあるんよ。
そういうところで、是非よろしく、ちいうところがあるんよ。
ロックが好きやら何やら言うてもう本当に好きな人はワクワクすると思うし、
「これ聞かんでね、ロックやら言いよったら笑わせるぜ!」
ちいう気持ちもあるんよ。
中倉 なるほど。
「こんなの知っとうとや?聞いてみい
っていうノリで…
鮎川 ちいうかね、やっぱ…やっぱ、聞かんもんは弾ききらんよ。知らんもんは弾ききらんよ。唄えんよ。知らんのに唄えんよ。それに尽きると思う。
中倉 ちょうど今のお話しに関連した質問をしようと思ってたんですけど、『200CD ROCK'N'ROLL』はロック・ファンに宛てた必読の書と思うんですが、特にどういう人達に読んで欲しいですか?
鮎川 やっぱ、パンクが好きな人とかブルースが好きな人…いろんな音楽が好きな人と一緒に分かちあいたいんよね。
それでね、何ちいうか、もっとすごい人達がいっぱいおると伝えたいんよね。
ハマってしまえば、その専門にいっていいと思うけど、いきなりブルースの本読もうとすっとブルースの事しか書いてない。
けど、ローリング・ストーンズはブルースや色んなもん聴いて、ブライアンジョーンズが、音楽音楽音楽音楽ってギター弾いて、そしてロックが生まれとる。そこをね、ブルース好きな人は全然讃えんやったりする。それから、ラモーンズを讃えんやったりするんよ。
それがね、日本の深いけど何か物足らん部分たいね。今までも、今からも、そんな風に…もうちょっと音楽は一本ち思いたいんよ。色んな
「いいやん
ち。
Benny Goodmanいいやん
ち言う人が、
「おお、ラモーンズいいやん
ち思う人が、本当の本物の音楽ファンと思うんよ。
それとね、俺は東京ロッカーズやからこれだけとかさ、めんたいロックが好きやけん他は知らんとか…そんな感じじゃなくて、音楽好きな人はもっと盛り上がりたいし、もっと集うてからさ楽しみをみんな振りまいたりさ、貰うたり、やったり、そげな風にして音楽が広まって、SHEENAが言うごと、本当なんか開放されて、みんながイェーちなって。
愛と正義と勇気ち言うけど、そんな風に何ち言うのかなぁ…今、破廉恥も多いしさ。あげなんの止めて欲しいんよ。ロック好きなのあんま破廉恥せんけね。とことん悪いヤツ…学校の先生であろうが、なんか若い人が…昔はね、鬱積したガキ共は親からガーッと押さえつけられて…
中倉 今、学校の先生、レベル低いんですよ。低いちいうたら、先生らしい先生がおらんとですよ。職業教師っていうか公務員みたいな、本当ガッカリします。
鮎川 なんかね、そんな、いろんな意味で、音楽からもう一回ね、本当にみんなが正義の心とか、グローバル…日本だけやないで国みんな音楽ちいうたら、心繋がるやんね。
なんかね、そりゃ大げさかもしれんけど、なんちいうか音楽も盛り上がりたいと思うし。
偏った感じで上手くやるとかさ、最短距離でも合格点とるちいうようなんじゃなくて、紆余曲折する中に、悶々として見つけるようなものの中に、すごい素敵なもんがあるのを、僕は音楽からすごい教わった事やし、一緒に分かち合えたらなち思うね。まあ、本で全て語れんけど。

「元々、最初は鬼平が電話して来て…」
中倉 今日のイベントなんですけど、俺もすげえ楽しみやったし。
鮎川 ビックリしたよ(笑)
中倉 ファンも楽しみやったと思います
「ビックリした」と鮎川さん自身が言われてるんですけど、元々どういう経由でこういう話になったんですか?
SHEENA 鬼平よ。
鮎川 元々最初は鬼平が電話してきて…
中倉 鬼平さんから電話してきて?
鮎川 それで、すごい楽しいバンド作って、シュープリームスみたいなカワイ子ちゃんが三人おるバンドがあるけ、SHEENAとロネッツみたいなセッションやらんねちいうて。
SHEENA 『Be My Baby』とかいいなぁとか言って。
鮎川 誘われたとよ。それが話がどんどん現実になってきて…
SHEENA マコちゃんも呼んでって。
鮎川 俺も呼ばれる事になってさ。
中倉 えっ、じゃあ最初はSHEENAさんだけだったんですか?
鮎川 絶対そっち(※編集部注:SHEENAソロ)も面白いのは決まっとるよ。
中倉 そりゃもちろんそうですけど。
SHEENA でもさ、楽しい事は、みんなで楽しんだらもっと楽しい。だから楽しくなるのよ。
中倉 なるほど…意外ですねもうお二人一緒にピシャッて決まってと思ってたからですね。
鮎川 俺達ゃね二人でもやるし、SHEENAはTHE NEWSちいう女の子三人のグループと何度もやったしね。
"SHEENA & THE NEWS"ちね(笑)
中倉 THE NEWSって割とパンキッシュな…
鮎川 PUNKPUNKPUNKPUNKやし。もう20年以上しよう。
中倉 長いですよね。息が長い。
鮎川 東京のすごい良いバンドよ。
中倉 良いバンドですよね。
鮎川 うん、みんなに教えたい。知らん人に教えてあげて
中倉 今も頑張ってるんですね、THE NEWSは。
シ−ナ 頑張ってるよ
鮎川 THE NEWSは頑張りよる。
SHEENA メンバーもね、ドラマーが変わって、あとは…
鮎川 あとはずっと一緒よね。青木…
SHEENA 青木と、竹山と。
鮎川 俺この間、めんたんぴんの飛田君に誘われて、やったんよ。そん時は俺一人乗り込んで行ったちいう感じ。金沢に乗り込んでとかいう。夕焼け祭りちゃ。
その前は柴山さんやら花田やらも一緒で、イジワルケイやったやろ。
中倉 TVで放映されて見ました。
鮎川 で、その前はLightning Blues Guitarちいうのもやったし、SHEENA & THE ROKKETSではいつもやる。
MELON JAMとか高塔山もやったし。

「音楽に捧げとる人達ちいうのは、みんな集まったらさ、やっぱ捧げあうんよね。そうすると、みんながなんかひとつの良いもん作り上げようちいうのが生まれるんよ。」
中倉 じゃ、その話の流れでちょうどお訊きしようと思ってた事があるんです。
そのLightning Blues Guitarとかイジワルケイとかほんといろいろ参加されてるじゃないですか?
こんなんにも出んしゃる、今度こんなんにも出んしゃるって、僕等ファンは嬉しくて。鮎川さんとSHEENAさん見れるのももちろん嬉しいし、特に普段知らない人見れるじゃないですか。鮎川さんと一緒に弾きよう人誰やろうかとか、SHEENAさんと一緒にSHEENAさんのバックでコーラスしたあの人誰やろうか…って勉強の入り口になるんですよね。
ちょうど僕等とか、特にストーンズとかはシナロケに教えてもらったみたいなもんなんで、それと一緒で、日本のバンドもそうだし、そうやって色んなイベントに出られてて…例えば参加基準じゃないけど、あ、これ一緒してみようかね?とかいう、なんかこう決めてる事ってあるんですか?面白そうやったらやってみるっていうことですか?
SHEENA やっぱチャンス…面白そうやったら、もちろん行くよ。ゲットするよ。
とりあえずやっぱ、巡り会いよ。縁、縁。
鮎川 俺はね、本当言うて、サンハウスん時もSHEENA & THE ROKKETSになっても、そんなにあちこち行ってやろうなんち思ってないんよ。
バンドはバンド一本でやりたいんよ、本当は。本当はちいう言い方はなんかあれやけど…(笑)
俺、バンドはみんな違うから素晴らしいち思うとうし、似たようなバンドが集まってやるようなのは、別に興味も何もないんよ。なんぼめんたいロックが好きちいうても、みんな違うのと一緒でね。
それと一緒でね、基本的にはそんな風に積極的にやろうなんち、全然思うてないんよね。
ところが、YMOと会ったりする、そういうすばらしい縁をロケッツになっていきなり知ったわけ。なんか、自分の美意識が一個崩れてさ。
サンハウスの時も何処のバンドでせんかちいうて、海援隊を何回かデモテープ手伝った以外は、そんなに俺やった記憶ないんよ。そんなもんやと思っとったんよ、バンドちいうもんは。
中倉 あくまでサンハウス自体は、他のとは交わらない。
鮎川 うん。そういう必要もない。一番したい事を自分のバンドでね、みんなで持ち寄ってしよるん。だからそういうのは、バンドの美意識としてすごい大切にしとったと思う、俺は。
で、サンハウスはそうやったけど、ロケッツでYMOとやることちいうのが、こんなに楽しいのかと思うて。それでも、それやけんちいうてウロウロしようとは思わんかったよ。
縁あって尊敬しとる人とか気に入ったヤツとかで、Westroad BluesBandホトケ…彼が誘ってくれたり、僕が彼をロケッツに呼んでやったり、80年代からね。
中倉 ホトケさんとのセッションは素晴らしかった
SHEENA それからね野音のニューオリンズの山岸君。
鮎川 山岸とかね、それからChar
やっぱ色んなずっと長くやりよう間に、もう色んな意味で尊敬しとる奴等がいっぱいおるわけ。
横浜の李世福とかね。そんな感じで…
SHEENA 自慢よ。何処でも行けるし、誰とでもさ、何ちいうか、すごいマッチしとるし。
中倉 それなんですよ不思議なのは。
強引に自分のフィールドに引き込むわけじゃないのに、見事にシナロケとか、鮎川さん色、SHEENAさん色なんだけど、でもその場その場でシナロケとは違う別ユニットみたいな感じで、盛り上がれるじゃないですか。それがホントに不思議で。
どこでも確実に、鮎川さんは鮎川さんのギターやし、SHEENAさんはSHEENAさんの歌なんですよ。で、なんかスゴイな!と思って、いつも。
鮎川 そういう人達とやりよるんよね、俺達は幸せよね。
SHEENA 何処でも行けるっていうのは、やっぱ自慢よ。
友達多いっていうのと一緒よ、ホントに。ロックの友達よ。音楽の友達だしさ。それはやっぱ自慢よね。だって細野さんとか内田裕也とかさ…
鮎川 一緒にやれるのはとても幸せな事よね。
SHEENA やれるのは私達しかおらんのじゃないかねぇと思って。それ自慢よ。
鮎川 僕、ジョーさんとやるのも、もうすごい嬉しいんよ。誘われるんよ。裕也さんも誘われる。
SHEENA ジョー山中さん、かっこいいのよ。もう、ジョーかっこいいかっこいいかっこいい
鮎川 ジョーすごい、本当にやっぱ。
だから日本のロック、かまやつさんもこの間一緒にやったけど、いろんな素晴らしい…何ちいうのかね、おるんよ。
若いヤツもすごいよ、面白いよ。そやけど、ロックなんてさ、数字じゃない、年じゃないちいうような事でね。好きな心ちいうのは、もう広がる一方なんよね。それやし、やっぱ、ワインと一緒じゃないけど、熟せば味が出るじゃないけど、本当に色んな経験したり、色んな音楽から離れんどけばよ。もう音楽が好きで、毎日音楽の事を考えたり、レコード聞いたりよ。プレイしよろうがしよらんめえが、音楽に捧げとる人達ちいうのは、みんな集まったらさ、やっぱ捧げあうんよね。そうすると、みんながなんかひとつの良いもん作り上げようちいうのが生まれるんよ。俺はそれを知っとるからさ。もう全然そんな風に誘われたら、俺がやりたかったら、もう最高にしちゃるぜっていう気持ちで行くしね。
中倉 本当に色んな所行かれて、一緒に演る皆さんが鮎川さんと喜んで演るのもあって、どれもしっくりいってますよね。
鮎川 うん
中倉 例えば、大御所が来てなんかもう、恐る恐るやっててみんな萎縮してとかいうのじゃなくて…
鮎川 ノビノビとね。お互いがね。
中倉 一瞬一瞬の喜びを、鮎川さんと出来る喜びを、一緒に爆発させて、なんかそんな感じがいつもしていいなぁと思って(笑)

「気を付けとってライブも生き物やけん。」
中倉 今年何度かシナロケを福岡観させて頂く機会があってとても嬉しかったんですが、今後の秋から年末に向けて、あるいは、来年に向けてのシナロケ・鮎川さん・SHEENAさんの予定を訊かせて頂けますか?
鮎川 俺達が一番サボっとるのは、レコード作る事(笑)
他の事にかまけとるから。
中倉 それを聞こうかと思ってました(笑)
オリジナル・アルバムをいつ出すのか…
鮎川 それは本当に俺達は納得したヤツを作りたいね。バンドがねライブをやるのはすごい大切な事やけど、俺達はレコード作りの夢をずっと持っとるけん。頑張ってレコード作りたいちいつも思うとる。
そやけど、スケジュール決められる前はやっぱちょっとサボっとうね、はっきり言うて(笑)
前はほんとビクターレコードとかが、タイムリミットつくるんよ、ガーッと。
中倉 〆切みたいなものですね。
鮎川 ほんで前の日に♪島の女のロック♪もういいやこれで!ガガガガガーッ…作った!とか言うて(笑)、次の日に、もう、さも1ヶ月前からリハーサル重ねたような…そんな作り方ばっかりロケッツしてきたんよ。『ピンナップベイビー』の時もそうやったなあ。
中倉 そうだったんですか
鮎川 ただ、
「これ昨日作った曲やけど、ミッキーさんに見抜かれんごとせんと、昔から作っとったごとせんと、あーだこーだケチ付けられるきね、威張ってしようぜ!」(笑)
みたいな。そんなん、ようしてきたけど、今は何かね有り難すぎて…大事にしてくれ過ぎて。
自分達があの…時々スタジオで作るんよ、なんかねガッといかんで。すぐまた気が他の所行ってしまう感じでね。ちょっと自分達は頑張らないかんと。
中倉 アルバム作りって大切な作業ですしょうから、そりゃ集中せないかんやろうし。
鮎川 そうですね。
中倉 ファンとしては早く聴きたいな、という気持ちが強いと思います。
鮎川 ありがとう、ありがとう
ほんとにもう、みんなをガッカリさせんように頑張ります
中倉 いえいえ、とんでもないです!
あと、例えば年末なんかライブがあるよとか、そういうのは決まってないんですか?シナロケとしては。
鮎川 そうやね…俺達はわりとね、「あ、そう」ちいう感じでね。
おっ、仕事入ったぜ、ライブが入ったぜ。京都大学講堂でやるぞ、とか、山崎ハコと一緒に…今度電話かかってきてSHEENAと俺と二人でやらん?とか言うて。なんか女達だけのブルースナイトとかいう。それにみんなね、『Boyfriend』とか演るんだけど、そんな感じでね、ライブはね。
俺達はもうほんと、有り難いほどに誘いがあったり、演りたいと思えば演れるようなライブいっぱいあるけど、特に何をやるとか、今は予定ないです。
気を付けとってライブも生き物やけん。

「コンピュータもロックだぜっ
中倉 有難いのは、さっきも言われてたけど、SET LISTの掲載が早い!日本一?ひょっとしたら世界一早くセットリストをあげるバンドじゃないかと、僕は思ってるんですけど(笑)
鮎川 でもね、そんなこたぁ何の自慢でもないし(笑)
中倉 いやいや、ファンにとっては有難いですよ!やっぱ気になるじゃないですか。
鮎川 あ、俺はそれは嬉しいよ。
中倉 MELON JAM行けんよなあ…何したっちゃろか?」
って思っててもすぐ分かる
鮎川 それを喜んでくれるファンには、心から感謝しとる。
そんな事を気にしてくれて、そんな風に反応があるのはね、ものすごいやっぱ励みやし。
中倉 そうやってUPされててすぐ見れるのと、これを鮎川さん自身が更新しよんしゃーとよねっていうのが、見る側も
「おぉーっ
て(笑)
この更新をどっかの業者にポンと投げてしまって、エライこじゃれたキレイなページばってん、ちょっとキレイ過ぎて見にくい、とかいう所もあるじゃないですか。
じゃなくて、鮎川さん自身がパパッてUPしよんしゃあよねって思ったら、それは嬉しいんですよね、ファンとして。
鮎川 俺はね
「コンピュータもロックだぜっ
ていうポリシーは、今も変わっとらんけんね。
口で喋るのも良いけど、(手元のノートパソコンを指差しながら)こうやって有難い…音楽が聴けたり調べられたり。Albert Kingの音楽もっと知りたいとか夜中に思いついたら、夜中にすぐ。
次の日、前は本屋が開くまでまんじりと待っとったのが、今はもうこんなに音楽好きなもんが、一緒にラジカセ聞くように、深夜放送聞くように、コンピュータも一緒やれるちいうすごいロックの仲間と思っとるし、活用していきたいと思う。
中倉 ネットはもう大分普及してきたと思うんですよ。
ウチのサイトが今、だいたい一日平均6,000アクセス。
鮎川 わぉそうね
中倉 ビックリしてるんですよ、自分でも。
1,000ぐらい最初いけばいいねとか思いよったら…注目はされてるんですね、有難い事に。
鮎川さんに書いて頂いたから!
鮎川 なんがね、なんがね
中倉 やっぱ違うんですよ。
鮎川 そりゃ、喜んでくれる人がおるかなぁち俺は思うよ。
「これ、鮎川が書いちょるぜ
ち(笑)
中倉 「ほんまかー!?」
って思いましたよ(笑)
本当嬉しかったです。だから、そんな事もあって注目されてると思うんですよ。
鮎川 うん、すごい盛り上がる。
中倉 そんな中で、僕はネットの世界使って自分の好きなロックの世界を広げていきたい。僕が手伝える方法はこれしかないですから。イベンターした事があるわけじゃないし。
鮎川 俺もロックもインターネットもリアルやけん良いと思うとんよ。そのリアリティーさが好きなんよね。そやけど、色んなんが今、入ってくるけんね。それは何でもそうやんね。
中倉 それはし過ぎといえば、し過ぎですもんね。煩雑ですしね。
鮎川 それやし、MP3でダウンロードして、誰かが曲名間違ごうて書いとったらね、それがもうまかり通るんよ。
フォートップスの『My Girl』とかさ、もう出回るんよ。そしたら勉強せんヤツは、マイガールはフォートップスの曲よね、ち出てくるぐらいインチキも横行しとる。
そやけん、ニセもん見る眼も養わないかんから、100%インターネットなんて信用は…
中倉 信用はできないですよね。
鮎川 うん、しちゃいかんって。昔と違うけんね。
前はね、ほんと自由な真剣な気持ちで、みんなひたむきにインターネット喜んで、シェアできるちいうようなやったけれど、そのうちに不勉強な者も混じってきて、今度はそれが一人歩きしたりするようになる。
やっぱし、自分次第やないけど、同じよ。100%信用…できんやろ、やっぱ。裏で操ってマズイ情報は隠したり、片側の意見だけ表に出るとか。
中倉 そうなんですよね。何か情報操作されてるんじゃないかこれ?ていうような、疑いたくなるような時ありますもんね。
鮎川 そんなんあるけんね。
でもローリング・ストーンズやらボブ・ディランやらは、そういうの教えてくれるやん。ちょっと待てよ、オマエ信用しとっちゃないとや?っていう歌を一発歌いながら、いつも現実に真実に目を向ける、ちいうような言葉の力はあるけんね。
僕等は音楽好きで良かったと思うよ。
中倉 逆に鮎川さん達がいらしゃったから、こっちもロック好きで居続けられたと思うんです。
鮎川 ありがとう、ありがとう(笑)
中倉 俺は多分、サンハウスがなかったら普通のサラリーマンやって、今頃は演歌歌って
「だーいぶ俺も五木ひろしが上手になったね」
とか言いようかもしれん。
だから本当感謝してます。
まだ贅沢言うと、もっともっとこれからも教えて欲しいし、活躍して欲しいです
鮎川 俺達もまだ色んな事やりたいよ(笑)
中倉 そういう意味じゃ、ウチのサイトもあそこ見りゃ福岡のロックは全部分かるったい!っていう発展をしたいと思ってます。
鮎川 布谷さんとかね、よう書いてくれてね。いきなりね、俺嬉しかったんよね。
中倉 観てて面白かったんですよ本当に。
鮎川 布谷文夫、すごいよね。
中倉 布谷さんも以前一緒にされてるって言われてましたね。
鮎川 俺、サンハウスの時に『悲しき夏バテ』ちいうの聞いてね。もう一目も二目も置いとったんよ。
中倉 ちょっとブッ飛びました。俺も不勉強で前知識がなかったんですが、ほんと良かったです。
鮎川 布谷さんとはまたいつでもやれる状態にはあるけど。
中倉 そう言われてたから、よけい一度観てみたかったなと思ってました。
今更ながら…ネットで音あげられたじゃないですか?あれ聴いて
「うわーっ!」
って思って。
鮎川 あれは本当にもう嬉しい出会いやった。
中倉 まだ自分も不勉強なとこだらけで、新しいバンドも、昔からの人達も勉強していきたいし、いろんな人を紹介していきたいんで、またいろいろお願いする事もあると思います。
鮎川 いやぁ、こちらこそ、お互い
中倉 色々よろしくお願いします
すみません、長い時間ありがとうございました。

2005.9.17@ジェリコでの鮎川誠&SHEENAのLIVEの模様はこちらへ!
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<敬称略、文責:hakata-rock.net編集部>