(インタビュー(1)より続き) |
「『ホラ吹きイナズマ』も元々は『CRAZY DYAMONDS』の時に作った曲やけんさ。」 |
hakata-rock.net編集部 中倉(以下、「中倉」) |
|
先ほど、自分がやらないと死んでしまう、陽の目を見ない楽曲が…って話をされて、それをもう少し掘り下げてお伺いしたいと思います。
僕からしたら、例えば『ホラ吹きイナヅマ』とか、ROKKETSでやってて、それも当然カッコ良いと思ったんですが、いつかは柴山さんで聴きたい!とずっと思ってたんですよね。だからZi:LiE-YAで演奏したのを聴いた瞬間、
「あ!これが決定版かな」
と思ったんですよ。だから、死んでるって言い方もアレですけど… |
柴山"菊"俊之(以下、「菊」) |
|
死んでるって言うか…演奏しないからもったいない。それが一つと…あとは遠慮してたってのは確かにある。
シナロケが一生懸命『レモンティ』演ってくれてるのにさ俺が『レモンティ』演っちゃったら、
「こっちの方がやっぱり本物だ」
とか言うのは何か当てつけがましいじゃん?俺は別にそんな事思ってないけど、みんなそんな風に勝手に解釈するから。
前から『レモンティ』して!とかよく言われてたんですよ。
「あの曲はシナロケにやったけん、俺はもうせん!」
とか、よくステージから言ったりしよった。だから、とりあえず遠慮して。あんまり比較されたりするのも可哀相やし。
あと、『ホラ吹きイナヅマ』も『ROKKET SIZE』で演ってたけど、あれ元々は(サンハウスの)『CRAZY DIAMONDS』の時に作った曲やけんさ。 |
中倉 |
あ、そうなんですか?確かに時期的にはそうですよね。 |
菊 |
『CRAZY DIAMONDS』に『ダイナマイト』と『ステディ・ドライバー・マン』と、あと『ビンテージ・バイオレンス』と…5曲くらい作ったんですよ。で、完成してなかった。
完成しとったけど、『ホラ吹きイナヅマ』もああいうスタイルにはなってなかった。歌詞が一番少なかったし。
だからちょっと変な感じやったんですよ。あれは1番、2番、3番…と歌詞があって4番は倍になってる。それが、(『CRAZY DIAMONDS』の時点では)4番は倍になってなくて一個やった。だから、何か物足りなかった。地味な感じで盛り上がらんし、つまんないな、これはもう止めよう、と。
で、『ビンテージ・バイオレンス』はよく分かんない(笑) なんかワワッーて作って来て、こんな急にしたってもう出来んよ、と。バックトリオの三人じゃ無理かもしれんってなった。
で、『ダイナマイト』と『ステディ・ドライバー・マン』とかを入れた。 |
中倉 |
じゃ、ひょっとしたら再結成時のサンハウス『CRAZY DIAMONDS』で『ビンテージ・バイオレンス』を演る可能性があったかも知れないって事ですか? |
菊 |
うん、あったかも知れん。
で、その後『ROKKET SIZE』作ろうって言って、(『ホラ吹きイナヅマ』の)歌詞が足りん、もうちょっとどげんかならんかいな?って言って来たけんさ。で、
「別にこれで良いやろうもん」
って(笑)
もうまた考えるのも鬱陶しいけんさ(笑)
「良いよこれ、カッコイイよ!」
とか言いよった(笑)
けどさ、やっぱ家で聴き返してみたらもの足りんかった。だけん、4番の所を倍にすれば?とか言って歌詞継ぎ足してやって。
基本的に歌詞を継ぎ足したりするの難しいんよ。 |
中倉 |
そうですよね。一度完結してる内容だし… |
菊 |
完結しとるものに、またそれに何かを継ぎ足さないかんわけやろ? |
中倉 |
歌詞のリテイクってあまり聞かないですよね。 |
菊 |
うん、大変やったよ。4番にもう1番くっつけて倍になっとうけんさ。 |
中倉 |
そんな話初めて聞いたので疑問にも思わなかったし、全然後付けの違和感ってないですよね。 |
菊 |
「〜メイン・ストリートのゴミの中」っていう所でさ、「気にするなよ〜」で終わっとったわけよ。
「メイン・ストリートのゴミの中で産まれたんだぜ。それも全部ウソだぜ」って流れで終わってる。
それをどげんすれば良いのか…最初分からんかったけど、たまたま、それがワ〜ッて暴れ出してそれもまだウソなんだ、って風にすればいいかって思って。 |
中倉 |
最後の1番で話が拡がって締まるような…とんでもないホラ吹きだな、暴れ者のホラ吹きだなって言う形になる。 |
菊 |
うん、それで良かったんよね。
それもずっとマコちゃんのオハコで、シナロケで演ってくれよるし。それを自分が同じ曲を演っちゃうと悪いなと思って。
それでもよく言われてたんですよ、
「『ホラ吹きイナヅマ』って歌わないんですか?」
って。
|
中倉 |
僕もずっと思ってました(笑) |
菊 |
歌わないんですか?って言われても俺の曲じゃないし、マコちゃんに訊けばいいじゃん?って。
柴山さんが歌ったらどんなになるのか、とか言われてさ。 |
中倉 |
自分もやっぱり思ってましたよ。想像しちゃうんですよ、ファンは勝手に(笑)
例えば『NEON BOY』を柴山さんがやったらどうなるか?とか。 |
菊 |
『CRIMINAL ROCK』も(Zi:LiE-YA以前は)してなかったんよ。最初面白半分で、結構したいなぁとか思ったりして。でも花田が一生懸命歌いよるのに、と思って。
だから基本的にそういう状態でやんなかったけど、Zi:LiE-YAをするようになってから、こういうのも自分の作品ですよ、っていう掘り起こしをしていくようになった。 |
自衛隊が家まで迎えに来た |
中倉 |
学校は大濠高校から福大(福岡大学)ですよね? |
菊 |
福大、二回合格しとるけんね。 |
中倉 |
…え?二回ですか? |
菊 |
そう、二回(笑)
一回は合格後に卒業延期になって行けんかったけんさ。で卒業後、次の年にもう一回。 |
中倉 |
卒業延期…? |
菊 |
高校が卒業延期になっちゃった(笑) |
中倉 |
単位かなんかの問題で出られなかったんですか? |
菊 |
いや、色々悪い事して(笑)
卒業証書はやるけど退学になるはずが、卒業式の日に捕まえられて、で卒業延期(笑)
一年間ブラブラしよった。で、兄貴に自衛隊の試験受けさせられた。
「自衛隊に行けーっ!」
って言われて。
自衛隊の試験受けに行くフリしてサボって
「受けて来たー」
って帰ってきたらバレちゃって(笑)
「もういっぺん行ってこーいっ!」
って言われて。そしたら今度は自衛隊が迎えに来ちゃって(笑) |
中倉 |
ホントですか!? |
菊 |
うん、家まで。
申込みはしてあったけん、後は受けに行くだけやない?
俺一回目行かんかったら、兄貴の所に来んかったっていう連絡があってバレちゃって。で、兄貴と母親に
「今度は行くよ」
って言ったら
「もう信用出来ん」
って言われて、自衛隊が来た。
自衛隊のジープみたいなのあるじゃん?くすんだ緑色のヤツの(笑)
それが家まで迎えに来た。 |
中倉 |
すげぇ(笑) で、それどうなったんですか? |
菊 |
受けたよ、しょうがないから(笑)
試験ものすご簡単でさ(笑) |
中倉 |
入隊まではしなかったんですか? |
菊 |
自衛隊から
「いらない」
って言われた、最終的に。 |
中倉 |
試験は合格されてるんですよね? |
菊 |
試験はすごく簡単でさ、ABC…ってアルファベットが順に並んでてHの所が空欄で、ここに正しいローマ字を入れなさい、とか、福岡の県庁所在地を書け、とかさ(笑)
高校卒業した人間にこんな問題を…って。小学生並み(笑)
それ位簡単な問題やった。 |
中倉 |
でも向こうから
「来るな」
と…? |
菊 |
母親がなんか可哀相と思って、話をつけたんだと思う。
あとで聞くとね、あの時はうちの母親が自衛隊に行ってもこの子はもっとロクでもない人間になるかもしれんと思って、自衛隊には行かせんかった。
|
中倉 |
で、晴れて(笑)自衛隊はヤメにして、その後はバンド活動とかに…? |
菊 |
バンドしよって、ウチの兄貴がもの凄い固いけん、もの凄い嫌がる訳よ。ああいう髪の毛を伸ばして、とかさ。
でも俺がね、ウチのお袋の弟そっくりなんよ。顔が。
22歳位で亡くなったらしいよ。歌を歌いよったらしいんよ、その人。
だからうちのお袋が一番最初に認めた、バンドするのを、音楽すること自体を。自分の弟を見ようみたいで。 |
中倉 |
22位で亡くなられたなら、ちょうど大学の頃じゃないですか。だから年齢的にも柴山さんと重なりますよね。 |
菊 |
だから、一番最初にお袋が認めた。
兄貴はもう…すごかったけんね(笑)
クリームのレコード買うてきて聴きよったらさ、バリーン!と割られちゃってさ(笑)、英語の歌とか聴きよったらバリーン!と割られてさ。
「こんなの聴くな!非国民!これを聴け!」
って出したら『海ゆかば』って軍歌だった(笑)
結構聴きよったよ、あれ。いい曲じゃん(笑)
で、髪の毛がちょっと伸びるやない?その頃はそんなに長くなかったけど、
「銀行に行って、銀行員の髪の毛を見て来い!」
ってよく言われよったよ(笑) あの頃の銀行員って絶対頭短かったしね。 |
中倉 |
ああいう銀行員チックな髪型はされた事ないですよね? |
菊 |
した事あるよ(笑) だって
「してこい!」
って言われて無理矢理床屋連れて行かれてさ、ガーッてバリカンで。 |
YAMPO |
「菊のブルース」に出てないかな?高校生位の頃の写真。 |
中倉 |
で、それからやっと大学に入って…在学中からサンハウス演られてたんですよね? |
菊 |
大学の3年の時にサンハウスを始めた。もうバンドを辞めるつもりやった。
辞める…というより働かなきゃいけなかった。身内との約束やったから。
実家が土建関係の仕事しよったけん、大学卒業したら家の手伝いをしなさいって、跡継ぎを。長男と一緒に働け!って。
で、うんって言って自動車学校行ったりしてさ、免許取って、3年位なったら毎日学校行かんでいいような状態で休みの時とかあるじゃん?そん時に現場に連れて行かれて現場の人と一緒に働かされたり、丁稚みたいにしてさ。 |
中倉 |
ちなみに柴山さんの学部は何学部なんですか? |
菊 |
経済学部経済学科。理由は出るのが簡単だから(笑)
経済学部はゼミがなかったから結構競争率は高かったけどね(笑) ゼミがないと学校行かなくて済むじゃん?卒論も書かなくていいし。 |
中倉 |
じゃ、卒業時には卒論もなしで? |
菊 |
いや、最終的に俺は書かされたけどね。8年間学校行ったけんさ(笑)
卒業出来んで8年目になったら
「もう来年ないよ」
って言われてさ、学校に(笑)
「いや、来年も行こうかと思ってるんですけど」
って言ったら、
「来年はもうダメです。8年で終わりです」
って言われて(笑)
で、
「どうしたらいいんですかね?」
って訊いて。
試験も受けんかったんよ、ちょうどバンドか何かで。それで留年の状態になったけど、留年にならずに退学ちゅうか中退の状態になるから、それだったら試験を受けますか?って言われて、受けろうかなと思ったら一人で受けろって言われて。何人も同じような状態の人間がいる訳じゃなくて一人で受けなきゃいけなくって…でそうなるとカンニングも出来んしさ(笑)勉強せないかんし、どうしようかと思って。
「今ちょっとバンドやってるんで試験の時に来れるかどうか分かんないんですよ」
って言ったら
「…もう分かったから卒論書け」
って言われて(笑)
財政学か何かの必修科目が一個だけ足りなかったんで、それの卒論を書けと言われて(笑) |
中倉 |
それはどうやって仕上げたんですか? |
菊 |
いや、それがさ… |
この後も大学卒業時の秘策やリアル武勇伝の数々など、延々と話は続きますがとてもスゴ過ぎてここでは発表出来ません(^^;)
(まるで、かってのRCアルバム発禁時の東芝EMIのような理由だ)
どうしても詳しく知りたい方は、hakata-rock.net編集部までご連絡クダサイ(笑)
|